ご挨拶

p006_b

 昭和19(1944)年8月21日、800人余学童を含む約1800人を乗せ那覇港を出航した学童疎開船対馬丸は、翌22日の夜、鹿児島県悪石島付近で米潜水艦ボーフィン号の魚雷攻撃を受け、撃沈されました。このとき、学童780人を含む1485人(平成26年8月22日までの氏名判明者)が一瞬のうちに帰らぬ人となりました。

 この年7月から翌20年3月の最後の疎開までに、沖縄から出航した延べ187隻の疎開船(乗船者約8万人)のうち、一度にこれほど多くの子どもたちや民間人が犠牲になったのは対馬丸をおいて他にはないといわれております。

p006_a
公益財団法人対馬丸記念会
 理事長  髙良 政勝 
 対馬丸が撃沈されて70年あまりの歳月がたち、語り継ぐ人たちも大変少なくなっております。わたしたちは、この歴史的事実を共有し、未来に正しく伝え継ぐことが必要だと考え、平成16(2004)年対馬丸記念館を建設しました。

 今でも世界の多くの地域で戦争や紛争が絶えず、多くの子どもたちや民間人が犠牲になっております。平和な日本だからこそ、対馬丸記念館をとおして、戦争と平和、命の尊さについて子どもたちと大人の皆さまが共に考えてほしいと思います。

 無念にも尊い命を失った子どもたちに代わり、記念館がいつも子どもたちの元気な声で賑わい、夢と希望にあふれ、人が幸せに生きていくことの意味を問い直す空間になればと願っております。